私がまとめた文献

この小冊子は、アーユルヴェーダの歴史などは取りあえず省き、現代の生活に生きる叡智を今までの読んだ本などから抜粋し、また体験を通して皆様に簡単にお伝えする事を目的とします。

人間の寿命は、今の時代で100年あるとアーユルヴェーダでは考えています。健康に注意して生活すれば誰でも百歳まで生きられるはずです。そのためには、毎日どのように暮らしていくかということが重要で、人生を最後まで幸福に生きたいと思う人は、諸事の摂生に気を配らなければなりません。

健康を阻害する原因は体内と体外の両面にあり、賢明な人は、それを避けたり、うまく解決して、健康を守っていかなければなりません。以下は具体的な事に触れていきます。

※印の後は当店で扱っているアイテムを関連付けて紹介します。

①起床

太陽が出る96分前に起床することが成人の理想であるが、子供、妊婦、高齢者は体力が弱いので必ず早起きが身体に良いわけではない。現代の私達の生活は夜遅くまで起きていて、朝遅く起床する傾向にありますが、これは決して健康に良くありません。朝遅く起きて、忙しいまま緊張とともに、一日を迎えるよりは、少しでも早く起き、余裕を持ってゆっくりと1日の出発をする方が、身体と心の健康に良いのです。早朝起床の習慣を身につける事は長生きにも関係します。

②睡眠

睡眠は本能です。休むときは休む。「幸福、不幸、滋養、痩身、体力増大、減少は睡眠の支配下にあり、精力増大、減退、有知、無知、生存、死も睡眠によってコントロールされている。夏の夜は短いので早朝起床が身についていたら昼寝も取り入れて睡眠時間を補ってほしい。健康な大人の睡眠時間は8時間が目安です。また不規則な夜更かしも良くありません。夜の10時には全開の蓮の花びらがゆっくりと閉じるように就寝してください。

※寝る前やシャンプーの前などに、ヘッドマッサージオイルを使いマッサージを日常的に行うと良い睡眠がとれるようになります

我慢してはいけない衝動

食欲・のどの渇き・睡眠(眠気)・大便の排泄・おなら・ゲップ・あくび・疲れた時のため息・涙・射精・嘔吐・くしゃみ

これらは体から自然に出てくる欲求ですが、それを抑えてしまうことで、体に悪い影響をあたえることになります。生命エネルギーの働きを悪くして病気にかかりやすくなります。生理的衝動を我慢してはいけません。

③排泄・洗顔

健康維持のため、大便は24時間以内に2回、朝起きてなによりも前にトイレにいき、尿と大便を排泄することがよい。大腸の中に排泄物が長く溜まっていることは、毒素が増加し病気の原因に繋がる。

洗顔は、にきびを防ぎ、顔に輝きを与えて、若さを保ちます。普通綺麗な温かい水で洗いますが、お顔の皮膚質によっては牛乳で洗顔することは、美容の面からも大変有益です。顔を洗ってからは手、足を洗うべきです。また、外から家に帰った時も、まず手足を洗う習慣をつけたほうが良いです。この習慣は個人衛生の意味で病気を防ぎ、精神面でも良い結果を持ちます。

ムルタニミッティは、毛穴の汚れや、油汚れを吸着する白い泥のパウダーです。作用が優しいので、敏感肌の方にも使うことができます。使った後は、肌が柔らかくなり、ぐんと透明感が出てきます。

ニームは、皮膚のトラブルやスキンケアに最適、抗菌性・抗寄生虫性・抗真菌性・抗炎症性・鎮痛性の作用があり日常的な肌トラブルから抜け出すためのミラクルハーブです。保湿性もありますのでムルタニミッティと混ぜてお使い頂くと、しっとりとしながら、さっぱりな質感になります。

※モリンガを食用することにより、植物繊維、ビタミン、アミノ酸、ミネラルが腸を活性化し便秘を解消します。

④歯磨きと舌の清掃

アーユルヴェーダの歯磨き材料は、人工の歯磨き粉ではなく、薬効を持つ植物です。ニームの小枝を噛み先が歯ブラシのようになりますので、それを利用して歯の表面を磨きます。この自然の歯磨きが歯を綺麗にして歯肉と歯を丈夫にし、消毒の効果によって口の匂いをさわやかにします。舌の清掃はタンスクレーパーを使います。舌に付いている老廃物をゆっくり削り取ることで口内衛生がよくなると共に、細菌の増殖や虫歯の予防、口臭を臭くしたりしません。舌の清掃をすることにより、味覚もするどくなります。舌の老廃物は前の晩食べたものが毒素として体内に蓄積され、夜の間に血流に乗り翌朝に舌の上に堆積したものです。朝の10時までに取らないとまた体内に逆戻りしてしまいます。

タンスクレーパー 舌に溜まった毒素を除去する道具

※DANT DHAVAN   数種類のハーブをミックスしたインドの歯磨き粉 すごくいい味使い心地良し。

モリンガの種 西洋ワサビとも言われるモリンガは、口臭を防ぎ、毎日食べると虫歯予防にもなります。

⑤入浴

入浴することによって、長寿を促し、疲れ、汗、汚れが取れ、人は神聖になり、性欲が増し、また、入浴で元気が出て、顔色がよくなり純粋なエネルギーが増加します。全身に温かい湯を使って沐浴することは良いのですが、頭だけは熱さを与えないように気をつけなければなりません。頭に熱い湯をつけると目や耳に良くないと説明があります。入浴の湯に薬効を持つ植物を入れて、薬用入浴を楽しむ指示もアーユルヴェーダにはあります。

カチュールスガンディ 抗菌殺菌作用があるのでスキンケアにも広く活用されています。単体では湯船に浮かべ香り風呂としても活用されています。

※ムルタニミッティ タージマハルを掃除する泥として使われている泥で泥風呂をお楽しみ頂けます。湯上がりをその泥を使いお風呂掃除にも使えます。

※リタ ソープナッツともいわれるリタは、泡が立ちます。天然の泡風呂としてお楽しみ頂けます。油分解力がありますので毎日のご使用はオススメしません。小さじ1杯程度湯船に入れてお使いください。

⑥運動

毎日、自分の力に応じて運動することにより、健康に悪い影響を与える間違えた食事をしていても、体を動かして汗をかくことにより、多少生理学的に害になる食物でも、完全に消化されて代謝します。

未消化で体内にのこる食物は毒素の元になります。運動は汗が出て、呼吸が激しくなり心臓に圧迫感を感じたら、運動をやめるべきです。自分の力を越えての運動は逆効果になりますので、あくまでも精神的に喜んで出来る範囲でかまいません。

⑦食事

アーユルヴェーダの古典の中の一文で『聖者たちの何人かが町に行き、そこで出された食事をたべた。すると、行動が鈍くなり、修行がうまくできなくなった。これは、町で生活することによって生じたのだろうと理解した聖者たちは、自分の元の居場所である、いいエネルギーにあるれるヒマラヤに戻った』「町の食事は万病のもとであって、それが老化の原因である」というのです。この町の食事を古典では7つ紹介されています。

Ⅰ)食べ合わせの悪いもの

牛乳と、⇔塩・果物類・酢など酸味の強いもの・魚など、調理法として熱したはち蜜はいけないとされています。これらが未消化物を発生させ、蓄積すると血管などの経路をつまらせ病気を引き起こすといわれています。

ⅱ)酸味や塩味、辛味、アルカリ性の強いもの

これらは、からだを構成する要素の質を悪くするので多量に摂取してはいけない。特にアルカリ性のものを多く取ると、構成要素の質をわるくし、インポテンスを引き起こす。塩を取り過ぎると白髪が増え、早くシワが出るといわれています。また他の食物の栄養素や有効成分の吸収と代謝に悪い影響をあたえます。塩は必ず天然のもの、できれば岩塩が望ましいと言われています。

Ⅲ)乾燥した野菜や肉、腐敗した植物

 乾燥した野菜・肉も構成要素の質を悪くし、倦怠感や疲れなどを生じさせ、老化を過度に進めます。

腐敗した食物は生命エネルギーのバランスを悪くして記憶力や判断力、さまざまな思考器官の働きに障害を生じさせ、精神にも悪影響があります。

Ⅳ)ゴマの粉末やペースト、米の粉末

日本では、ゴマは体にいいものとしてよく食されています。ただあまり取り過ぎてしまうと消化の妨げになり、経路の閉塞を起こしやすい食べ物になります。米は、粉にすることで満腹感が薄れるのと同時に、量を多くとってしまいがちです。結果として消化に負担をかけてしまいます。

Ⅴ)芽が出た植物

栄養学的にはいろいろありますが、芽が出たものを常用することは生命エネルギーのバランスを崩す、といわれています。また視力を落とすともいわれています。

Ⅵ)新しい穀物(大麦・米・麦)新しく収穫したばかりの豆類

日本では、新米はおいしいといわれ人気があります。しかし、アーユルヴェーダ的には、新米は分泌性のある食物で、粘りっこい性質を持ち、体内の栄養を運ぶ通路の働きを妨げるからです。新米に限らず、収穫されたばかりの穀物はすべてこの性質を持っていると考えます。また、豆類のなかでも特にサヤの中に入っている豆は、デンプンが多く、タンパクが豊富に含まれてはいるのですが、収穫したばかりの新鮮なものは、重性、分泌性があると表現され、それは消化に負担がかかるという意味を持っています。時間がたつと、こうした要素は減ってきて、次第に消化・代謝されやすいものにかわるといいます。

Ⅶ不慣れな食事

日頃食べ慣れていない食事も、消化や代謝に負担をかけることがあり、結果として滋養強壮の働きがうまく行われないことがあります。

「町の食事の現代的解釈」

町の食事は、外食だけでなく家庭でつくる料理も含まれます。おいしくする目的で健康的でない調理法を行ったり(加熱のし過ぎ、揚げ過ぎなど)酸・辛・塩を使いすぎたり。これが町の食事の欠点ともいわれます。そういう食事は、消化過程で不快感を与え、胸やけをもたらし、便秘を引き起こします。

誤った食事は万病のもとです。現代医学でも栄養失調だけでなく、ガンや心臓病、皮膚病などの原因といわれています。特に農薬に汚染されている。品種改良されている。化学物質を含んでいる食べ物も町の食事に該当すると考えられます。たとえば水。塩素など科学物質による消毒を施されているのであれば、いくら水といっても自然なものではありません。乾燥した食物は、現代でいう「加工食品」や「冷凍食品」に相当します。また、町の食事をそのまま外食と解釈すると、料理に使われている食材は新鮮なものではないかもしれないし、自然なものではなく、化学的に手が加えられていることが予想されます。

これらがすべてが、無病長寿を妨げるもとになりますが、質の悪い食事がなぜ万病を生じさせ、老化を早めるのか。その原因を古典の説明からもひも解いてみましょう。

こうした食事を取ることによって、体のなかの三種類の生命エネルギーが最初に悪化し、体に筋肉がたるみ、体のなかの結合部位(関節を含む)の結合がゆるむことになって、血液組織が余計な熱に焼かれ(これは血液の質に異常が生ずることを一つ指すアーユルヴェーダの専用語)、脂肪が多くなって流動化する。骨のなかに適度な量の骨髄が生じない(骨がもろくスカスカになる)。そして最後には繁殖、生殖組織の質が低下して、すべての構成要素から生まれてくるオージャス(活力素)が減る。つまりこれを一言でいうと、生命エネルギーのアンバアンスによって構成要素の質に異常が生じる、ということになります。

こうして、人は疲れや倦怠感を感じて熱意が無くなったり、肉体的・精神的な行動が上手にできなくなります。そして、記憶力などの思考器官の働きも疎外されてしまいます。この人は病気に悩み、自分の寿命を全うすることができないといわれています。

⑧健康増進のための食事法

それでは、私たちはこれから何を食べればいいのでしょうか。それを書く前に、ここからしばらく、食事の取り方について書いていきます。アーユルヴェーダの考えに基づいて「何を食べればよいのか」より「どう食べるか」を強調しておこうと思います。

Ⅰ)量を守ること

食事のとり方についての古典の教えの中で、まずはじめに紹介したいのが「量」についての説明です。具体的にどのくらいの量を目安にすればいいかというと、一回食べた食事が「次回の食事のときまでに」「何の問題も起こさず」気持よく消化されると、その量がその人にとっての適量である、といっています。昼に食べたものは夕食までに、夜に食べたものは朝までに消化されているということです。

「何の問題もなく消化される」状態ということは、たとえば次のような症状から読み取ることができます。食後に喉が渇いて頻繁に水分を取りたくなったり、胃がもたれたり、胃が痛くなったり、精神的に落ちつかない・・・。こういう症状がみられないことが、何の問題もなく消化された証拠と考えます。

さらに、食事の量が正しいかどうかは、わきやお腹がパンパンに張って呼吸が苦しくない、ゲップやおなかが正常に出るなどの症状からも読み取れます。また、もう少し食べようという要求がなく、満足していることも、食事を適量に食べることができた証拠です。

これが、正常な消化をしているいい食事量です。どうしても量の目安が知りたいという方は、胃の容量の三分の二を目安とします。脂質や糖分が多い食事、乳製品、肉類など消化がしにくい食べ物ならば、胃の容量の二分の一を目安とします。油製品、高糖分製品、乳製品をふんだんに使った食事のときは、さらに減らすことも考えます。

みなさんは、お腹が空いてもいないのに、食事の時間がきたから何か口に入れておく、ということはありませんか。これは、老化防止にはとてもよくないことです。食事どきにお腹が空かないのは、あなたの体が発するシグナルです。前の食事が消化されにくいものであったり、多く食べ過ぎていたり、間食をしていたり、体調が崩れていたり・・・。そこで無理をして食事をしてはいけません。食べ過ぎないように気をつければ、長寿になります。ご承知のように無理なダイエットも体に害を与えます。

量を守って取った食事は、食事を取った人にいっさい害を与えないで、正常に消化され、体力と容貌があって、いつも気持ちよく幸福を感じ、そして長寿を与えてくれる。無病長寿とは、一つや二つの因子だけにこだわることではありません。人が生きていく上で多数の因子が関わり、総合的に形づくられるものです。その一つが、食事を適量取ることなのです。的確な量を取ることは、体の中の生理機能(消化や吸収)をスムーズに働かせて栄養素を上手に摂取し、体の7つの構成要素や3つの生命エネルギーのバランスを保たせるということです。

Ⅱ)時間を守ること

次にアーユルヴェーダが強調しているのは「時間を守ること」です。

現代でも、特に、仕事との関係で不規則を余儀なくされる方も多いものです。食事の時間はそれこそ人によってさまざまです。だからこそ、時間については特に制約を設けず、代わりに前に取った食事が完全に消化されることだけを守ってほしい、というのがアーユルヴェーダの主張です。

古典のなかに、食事の量だけでもなくて「健康維持・増進のための習慣に最も大事なのは、規則正しく食事を取ること」という記述があります。毎日、同時刻に食べ物を摂取することを勧めているのです。毎日バラバラの時間に食事を取ると、消化のために生理学的なメカニズムが崩れてきます。消化という働きの一つを取ってみても、体全体の生理機能にさまざまな影響を及ぼします。あらゆる生理現象に食事が影響を与えています。だから、食事を取る時間が乱れてしまうと、その後で起こるさまざまな働きのすべてが変調をきたしてしまうのです。人間には体内時計があります。生活リズムを一定パターンに保つことは、その時計にいい影響を与え、老化現象をやわらげます。

そうはいっても、毎日きっちり時間を守ることは難しいことです。アーユルヴェーダでは同じ時間に食べるようにいわれていますが、かといって、皆がきちんとそろって何時に食べましょう、とはいっていません。時間を守るという点で覚えておくべきは、前に食べた食事が未消化なままであっても、時間がきたから次を規則正しく食べようと思ってはいけない、という点だけでいいでしょう。

空腹でないのに食事の時間がきてしまったら、その時は消化のいい軽い食事をして、次の食事のときにはきちんと食事ができるようにします。あるいは、我慢できそうなら、その一食分は抜いてしまっても構いません。お腹が空いていないとき、どんなに軽い食事でもそのおいしさを感じられないのなら、それは体によくないからです。

食事にかける時間についてはどうでしょうか。食べるときは「早過ぎても、遅すぎてもいけない」と古典には記載されています。食事にかける時間は、20分から30分がよく、健康増進にはある程度の時間をかけ、集中して食べることが大事なのです。

Ⅲ)集中してたべること

普段私たちは、家族や仲間とワイワイ話しながら食事をすることはいいことだと思っています。日本では、最近、食事の時間は家族のだんらんの時間とされます。あるいは、一人のときはテレビや雑誌を見ながら・・・と、身に覚えのある方もいるでしょう。つまり、食事それ自体に集中していないということです。

アーユルヴェーダは、「心を込めて集中して食事を楽しむこと」を強調しています。また大笑いしたり、しゃべりながら食べてはいけない」とはっきり示し、食事のおいしさや楽しさが分からない食事を否定しています。たとえば美術館で絵画にじっくり見入るように、食事も、集中してその奥深い楽しみを味わうということなのです。古典のなかに、次のような面白い考えがあります。

『食事をするときに、胃のなかに神様が存在して、それは、消化力という形を取っている。その神様に捧げるお供えものとしてこの食事を自分は取っているのだと意識して、まるで大切な儀式を行うように食事をすると、その人は百歳までの寿命を手にいれる』(チャラカ サンヒター)

食事の最中はできるだけ声を出さず、落ち着いて食事だけに集中します。それは、食事を神聖な儀式のように考えるインド思想ならではのものです。まるでお供えものを捧げるように厳粛な気持ちで、今日の食材に感謝し、味や色を堪能します。すると消化を時間通りに適切に促進させて、胃腸の病気を起こさず、消化が円滑に進むといいます。

一日の食事の頻度については、どのように考えればいいでしょうか。食事の回数について、南インドのカルナータカ州にこんなことわざがあります。

「一日一回食べる人は修行をする人(ヨーギとよびます)。一日二回食べる人は人生を楽しむ人(ボーギ)。一日三回食べる人は病人(ローギ)・・・」最後に「ギ」がきて韻を踏む話になっているのでが、その後でいたずらでこう続けます。「一日に四回食べる人は、人に背負われて火葬場行き(ホーギ)」

すなわち、頻度が高ければ高いほど病気になって死に近づくということを、真面目に示しているのです。古典の「幸福を与えるもの」に関する記述のなかには、」一日一回の食事を取ることが挙げられています。これを元に現代的に解釈すると、子供さんや若い方は(三〇歳まで)は一日三食きちんと食べ、しっかり消化させ、健康な体をつくる必要があるでしょう。ところが、四十歳以上の方になると、一日二食でも構わないと思います。先にも見た通り、アーユルヴェーダでは明確に時間を指定していません。二食ということは、朝九時から十時くらいに一回食べて、二回目は午後四時か五時くらいに食べればいいのではないでしょうか。

⑨人々の健康づくりに役立つ食材  ー食べて体に良いもの8種類ー

1)ギー(純粋バター)

ギーは、無塩バターを温めてつくったバターオイルのことで、代謝過程でいっさい問題を起こさず代謝されるとして、古来から高く評価されている脂肪類です。からだを構成する要素のなかでも体に栄養を与える体液・精液、オージャス(活力素)を増やすといわれ、熱のエネルギー(ピッタ)と体を乾かす風のエネルギー(ヴァータ)の過剰な働きを抑え、体をしなやかにします。目と知力によく、抵抗力、意思力が強くなり、いつもおだやかでいられます。動物性脂肪ですから、一見コレステロール値を高めるように思えますが、これだけは例外です。コレステロール値を高めないばかりか、体の中の善玉コレステロールが増えるといわれています。脂肪酸が活性酸素と結びついていろいろな問題を引き起こすのであって、質のいい脂肪なら、体のなかで悪い働きをしない脂肪酸をつくると受け止めることができます。

 ギーは一日大さじ2杯は取りましょう。その代わり、他の種類の脂肪は減らします。日常料理に使う油の代わりにギーを使っても構いません。

 精力を強める効果があるので、ギーを毎日食べることが健康の維持・増進に欠かせないといいます。いつも酒を飲む人、頭脳労働をする人、性行為を頻繁にする人、脂質が少ないことで便が固く乾燥して出にくい人にとっては、とてもいい食材です。

{ギーの作り方}

225gの無塩バターを用意します。塊を細かく切っておき、まんべんなく火が通るようにしてもいいでしょう。 鍋に入れて、焦がさないように最初は弱い火ですべて溶かし、少し火を強めると、パチパチと音を立てながら沸騰しはじめます。しばらくすると、表面にあくのような細かい白い泡がつくので、ヘラで取り除いてもいいでしょう。最初は不透明ですが、数分のちに中央部分から金色の綺麗な透明色に変わっていきます。 泡が細かくなり、パチパチという音が静かになったら火を止め、すぐにペーパータオルなどでこし、耐熱性に優れた密閉できるビンに移し替えます。常温でも2,3ヶ月使えますが冷蔵庫に保存してもいいでしょう。ただ酸化しやすいので、取り扱うときはきれいで乾いているスプーンを使います。

2)牛乳

インドの農村では、家畜として家庭でも牛を飼っているので、子牛が飲んで残った牛乳を人間が飲むという考え方があります。ここで勧められる「牛乳」は、これを指します。日本で市販されている多くの加工された牛乳とは大きな違いがあります。 牛乳には十の性質がありますが、驚くことに、この性質はオージャス(活力素)の性質とまったく同じです。だから、牛乳を飲む人はオージャスが増えて、かつ体に栄養を与える体液の質もよくするので、牛乳は最高の滋養強壮剤だといいます。現代栄養学でも牛乳の必要性は述べられていますが。普通生活に安全な牛乳を手に入れるのは難しいかもしれませんね。 アーユルヴェーダは、食べ合わせにだけは注意が必要だとしています。 牛乳と食べ合わせの悪いものは、魚、酸味のあるものすべて(果物、酢、酸味のあるおかず)、塩、大根、ニンニクです。それぞれ単体なら栄養があって体にいいものばかりですが、食べ合わせになると相互作用を考えなければなりません。これらを一緒に取ると粘り気のある分泌を促し、消化に負担がかかります。未消化物をつくることになり、アレルギーなど、何らかの問題を併発させます。また、目の病気や皮膚病、精神的な病、動脈硬化など生じたり、老化が早まります。例外として、重労働をすることで代謝が活発になっている人や、壮健な若者、悪い食べ合わせに慣れている人は、悪影響は少ないともいわれています。 牛乳を摂取した後、45分から1時間は、他のいっさいを食しません。また、冷たいままで牛乳をとりません。

3)ショウガ

辛味のスパイスのうちで、胃や腸など消火器に対して辛味の刺激を及ばさない唯一の香辛料で、アーユルヴェーダでは『偉大な薬』と賞賛されています。消化力を高め、身体を温めることが主な働きです。ただし、燃焼エネルギーのピッタが過剰なとき、季節で言えば夏から秋にかけては少し控えめに。

4)ハチミツ

毎日、自然のなかで取れたハチミチを少量取ることが勧められています。アーユルヴェーダでは、ハチミツは生まれたばかりの赤ちゃんからお年寄りまで、だれでも飲むことを認めます。特に健康人は、毎日少量摂取することが勧められています。 日本では、消毒のために熱処理をすることがあるかもしれません。アーユルヴェーダでは、ハチミツに熱を加えるとそれが未消化物を生じさせることから、何も手を加えてはいけないといいます。ハチミツは人間の体温以上に温めてはいけません。だから本来なら、熱による殺菌処理がされていないハチミツが理想です。 しかも、ハチにシロップを吸わせて採るのではなく、自然のなかで収集されたハチミツがいいとされます。なぜハチミツが勧められるのかというと、ハチミツは甘いですが、太らせる結果にはならないといわれるからです。そればかりか、逆にやせる効果があると記されています。代謝・消化過程で経路を塞いだり分泌を起こしたりはいっさいしません。だから、常食すべき食べ物がいくつかあるなかに、ハチミツが含まれているのです。 私たちは、ただでさえ食べ過ぎの傾向にあります。ハチミツは味覚を満足させるので、食べ過ぎを防ぐことも可能かもしれません。

5)ニンニク

優れた強壮剤なので、食事のなかに頻繁に取り入れるといいでしょう。ただし、軟らかい便を一日に、二、三回排泄したり、下痢ぎみだったり、怒りっぽい人は控えるべきです。ニンニクは、やせている人に向いています。また、コレステロール値が高い人にいい強壮剤として使えます。 ニンニクは長コショウと同じく細胞のなかの酵素の働きをよくし、消化を助けます。関節の痛みも止めるので、リュウマチにも応用できます。胃腸に溜まったガスを取り除き、心臓や肺の働きもよくします。 皮をむいて潰し、ごま油で炒めて食べることもあれば、ギーと一緒に生のまま食べることもあります。夜寝る前に食べると精力剤にもなり、酸味のある食品や酒、肉などの相性は最高です。 ニンニクと相性が悪いのは過剰な運動、日射に当たること、怒り、水の飲み過ぎ、黒砂糖、牛乳です。

6)ウコン

ウコンには美容効果があり、皮膚をキレイにします。その他、解毒作用、ガンを抑える、認知予防の効果があります。

7)ツボクサ

頭の働きを、脳細胞の働きをよくする。生の葉っぱを黒胡椒の2,3粒とともに食します。アーユルヴェーダではてんかんの治療にもつかいます。

8)長コショウ

細胞の中の酵素の働きを活発にし、代謝機能を促進させて若返ります。口に入れた時は苦いですが、体内に入って消化されたときに、アーユルヴェーダの薬理学では甘くなるとあります。軽さを与え油性の性質もあります。 安定エネルギー(カパ)と風のエネルギー(ヴァータ)を鎮静する「強壮剤」「精力促進剤」であり、糖尿病や腹部膨満感、痔疾、疼痛、リウマチ、肥満病、アレルギー性ぜんそく、呼吸困難などに効果があり、特に脾臓や、肝臓の肥大傾向のある人。B型・C型肝炎、声質が落ちている人にも効果的です。 この粉末を調理の際に使います。寒い時期に肌がカサカサしたり、肌がひび割れたり、便が固く体内に油質がない人は、ギーと一緒に取ったほうが良いでしょう。

ドーシャがカパの人は取り過ぎると肥満傾向にありますので、ハチミツとお湯と一緒にこの長コショウをとります。ピッタの人は胃潰瘍になる恐れがあるので、ヴァータの人におすすめする食材です。 長コショウは毎日摂取する人は、2ヶ月に一度、2週間ほど使用を止めることが、効果を高めるそうです。

昔にまとめたものですが、ご興味があれば参考までに。LORCA